「パワハラが原因で退職したけれど、面接で素直に伝えて良いのかな?」
と悩んでいる方も多いかもしれません。
短期離職それ自体が転職活動にネガティブな影響を与えるのでは、という気持ちもあると思います。
その上さらに、短期離職の理由がパワハラだと面接官に悪い印象を与えてしまうのではないかな…と思う方も多いでしょう。
面接官にネガティブな印象を与えてしまうか、退職理由がパワハラであってもポジティブな印象を与えるかは、伝え方によって変わってきます。
本記事では短期離職時の転職活動において、面接で退職理由がパワハラである際の伝え方のポイントを解説します。
短期離職の理由はパワハラ、面接で伝えても大丈夫?
まず、退職理由がパワハラであることを面接で正直に伝えることは問題ありません。
理不尽なパワハラを受けている場合、転職するのが現実的な方法であることは面接官も理解してくれるでしょう。
問題はあなたの話を聞いて、面接官がパワハラであると判断するかどうかです。耐えられずに転職するほどのパワハラを受けていたと考えるかどうかは内容次第、といえるでしょう。
応募先の企業が重視しているのは、求職者が採用したい人材に合致しているかどうかです。さらに長く働いてくれるかどうか、という点です。
そうした企業側の視点は忘れずに転職活動をする必要があります。
退職理由の伝え方として無難なのは、
パワハラがいくつかある退職理由の一つ
として伝える方法です。
退職理由がとにかくパワハラであることを押し出して伝えると、ネガティブな印象を与える可能性が高くなります。
また短期離職となる転職では、どのような退職理由であっても面接官は求職者に対して不安を感じているものです。
そうした前提に立って、退職理由の伝え方、志望動機の内容など、面接対策をする必要があります。
パワハラの定義とは
そもそも、パワハラの定義ってなんでしょうか。
退職理由としてパワハラがあったことを伝えようとしても、問題なのは客観的に見た場合、
「それはパワハラではないのでは?」
と思われてしまうケースもあり得る、ということです。
厳しく上司から指導されたとしても、それは必ずしもパワハラではない、と判断されることもあります。
厚生労働省のあかるい職場応援団によれば、パワーハラスメントの定義は、
職場のパワーハラスメントとは 職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
とされています。
客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
これが判断の基準となるケースが多いのではないでしょうか。
退職理由としてパワハラを挙げる場合には、信頼のおける友人などに、パワハラに該当するか意見を聞いてみるのも一つの手です。
面接で退職理由が質問される理由
そもそも、どうして転職活動の際に退職理由を質問されるのでしょうか。
企業側の視点を理解しておくことで、不利になりやすい短期離職の転職活動を成功させやすくなります。
採用してすぐに辞めないか判断したい
求人を行っている企業が、採用活動の際に気にしているのは「採用した人材が入社してすぐに辞めてしまわないかどうか」ということです。
せっかくお金と時間をかけて採用した人材が、入社してすぐに退職、ということになるのは避ける必要があります。そのため、面接も2回、3回と行い人物を目究めています。
退職理由は人それぞれ。その上で、企業は自社の求めるスキル、知識、経験があるか、若ければポテンシャルがあるか、そして長く働いてパフォーマンスを発揮してくれるかどうかを重視しています。
退職理由がパワハラという場合、ストレスに弱いのではないか、厳しい状況に置かれると辞める傾向があるのではないか、と思われやすくなる可能性がありますので、対策が必要です。
採用してから人間関係を構築できるか判断したい
求職者が入社してから、社内の先輩、同僚たちと良好なコミュニケーションが取れるかどうか、人間関係を構築していけるかどうかも重要です。
退職理由の上位にランキングされているものに「人間関係」があります。常に上位にある、といっても良い定番の退職理由です。
企業それぞれ、やはり働いている人のカラーはありますから、既にいる社員たちと合うかどうか、面接官は判断するために質問をしています。
問題を他責にする傾向があるかどうか
仕事をしていると、様々な問題が生じるものです。問題が生じた時、求職者がどのように対応するのかを面接官は知りたいと考えています。
トラブルが起きた時、突発的に問題が生じることもあるでしょう。そうした場合、責任の所在を他人や環境のせいにする人がいると、職場でトラブルになる可能性があります。
問題が発生した際に他責にしてしまうのか、自分事として能動的に解決に動けるのかを見極めようとしています。
仕事に対しての価値観を知りたい
退職理由を確認することで、求職者の仕事に対しての価値観を知ることもできます。
仕事を辞める理由は、次の職場探しの転職理由にもつながります。次の転職先に求めるもの、仕事への価値観を退職理由から見ることも可能です。
自社と合う人材なのかどうか、様々な質問、視点から面接官は見極めようとしています。
短期での退職理由がパワハラ、面接で伝えるときの注意点
パワハラが退職理由です、とストレートに伝えることはリスクは確かにあります。
酷い仕打ちを受けたということで、もう同じ状況は絶対に避けたい、という気持ちが強いほど面接で退職理由として言いたい気持ちになるかもしれません。
しかし、パワハラだけが退職理由ではなく、数ある理由の一つとして伝えるのがよいでしょう。
伝える際には、以下の点を注意する必要があります。
事実を簡潔に伝える
面接で退職理由を伝える際には、事実を簡潔に伝えるようにしましょう。
客観的な事実を簡潔に伝えるのが無難です。
「売り上げは向上したのに人を増やさない方針だったため、毎日残業の指示があり、残業が5~6時間発生している」
などです。不満も多くあるとは思いますが、愚痴や不満が出てしまうと、他責をしやすい人材や不満を大きく抱えやすい人材かもしれない、という不安を面接官に与えやすくなります。
客観的に聞いても納得するのは数字や事実です。簡潔に伝えたとしても、パワハラである場合には面接官も納得してくれるでしょう。
パワハラを受けて、どんなに辛かったか、といった話はする必要はありません。
状況を改善するため、取り組んだことを伝える
パワハラがあったので辞めることにした、ということだけでは「課題や問題が生じた際に逃げる人」「トラブルに対応することができない人」というネガティブな印象を与えてしまいます。
パワハラ問題に対して、状況を改善するために取り組んだことを伝えるようにしましょう。しかし状況を改善することができなかったために退職を決断した、という話の流れにすることがポイントになります。
退職理由はポジティブな内容で伝える
退職理由はできるだけポジティブな内容で伝えることが鉄則といえます。
パワハラを受けて退職した、といった話の内容で終わってしまうと不満だけ伝えてしまい、ネガティブな印象だけを持たれる可能性が高いです。
採用した人材がネガティブな思考の持ち主であることは、面接官は避けたいと考えます。入社して一緒に働くのであればポジティブな思考の持ち主が良いです。
そのため、退職理由としてパワハラを受けたことを伝える場合、入社した場合には長く働きたいこと、仕事への熱意を伝えることが必要です。
パワハラについては事実のみを簡潔に伝えて、将来どんな働き方をしていきたいか、といったポジティブな内容をアピールすることがとても大切です。
次の転職先選びは慎重に行うことが大切
パワハラが原因で短期離職となる場合、重要なのは次の転職先で同じ状況を繰り返さないことです。
そのためには、興味を持った求人先の企業の、詳しい情報を得たいところです。
とはいえ、自分ひとりで転職活動をする場合には、得られる企業の内部情報(職場の雰囲気、社風、どんな人が働いているかなど)は限界があります。
そこで活用をおすすめしたいのは、転職エージェントです。
転職エージェントの中には、短期離職者の転職支援にも実績があるところがあります。
こうした転職エージェントを利用することで、求人に応募する前に、企業の雰囲気や働き方などを知ることができます。
ぜひ活用をおすすめします。
まとめ
短期離職、退職理由としてパワハラを伝えることは問題ありませんが、伝え方には気を付ける必要があります。
パワハラを受けたことを強調し過ぎて、職場の不満だけが強く印象に残らないようにすることに気を付けましょう。
パワハラについては事実を客観的に簡潔に伝え、どう状況を改善しようとしたか、といったことも合わせて伝えることが大切です。
その上で応募先企業でどのようにして働いていきたいか、キャリアビジョンなどを伝えてポジティブな印象を与えることが内定獲得するためには重要になります。
また求人を探す場合には、職場の雰囲気などを事前に知ることも、自分に合った職場を探すためには必要と言えるでしょう。
次の転職先探しに成功するためには、情報収集がカギになります。